息子がお金を盗んだ理由 [子育て]

それから数年の月日が経ち、今度は娘がイジメに遭い、学校から行方不明になった。
父親とも電話で話しをしなくてはならなくなった。

「私をあの時捨てておいて今頃何だ!」
「お前が育てればそうなるのは、私には解っていましたよ。」

いい気味だと言わんばかりに叱咤される。

「そうですね。そのとおりです。」
世界はこの人のためにまわっているから、私はそう答えた。
「私が悪いんです。ただ、子供たちに罪はありません。」

「いや、私を捨てた子供たちだ。イジメに遭い、こうなるのは当たり前だ。」

「そうですね。解りました。不愉快なお電話をしてしまい、申し訳ありませんでした。
娘はあなたに遭いたいと最近言っていたので、かけたのですが、
わかりました。あの子はどうなっても仕方ないですね。では・・・。」
と、電話を切ろうとした。

すると、娘だけには手を上げなかった彼は
「あなたは、本当に人を不愉快にさせる人だ。そう想うなら最初から留守番電話にメッセージなどいれないでください。」

「本当に、申し訳ありませんでした。」

世界は彼の気持ちで動いているから、私は謝り続ける。
私が死んでも憎み続けると離婚して6年経った今もその気持ちを持っている人だ。

「不愉快ですが、聞いたら先が気になります。見つかったら連れくしてください。」

6年ぶりに電話で話しをして、やっぱり別れて良かったと思った。笑
そして、そんな父親に会いたい、暮らしたいという娘が信じられなかった。

そんなやり取りを終えて、心療内科に通いながら新しい職場で必死に働いていた私に
息子が話し始めた。

「離婚したのは、すごく驚いたよ。
でも、一番いやだったのはこの町だよ。こんなひどい町に暮らさなくちゃいけないのが嫌だった。
〇〇が家出した気持ちは解るよ。」

そして、息子はお金を盗んだ頃のことを話してくれた。
住宅団地に暮らしていた時はある意味、一般以上の収入のある家庭の子供たちだけの学校で
みんな優しくてのほほんとしていた。
ここは居酒屋が多い町。
片親の子どもの方が多いくらいで、両親が居ると地元のお金持なので
学校は暗黙の了解で割れていた。

友達が転んだら、みんなでハヤシ立てて笑う。

駆け寄って大丈夫?と言う学校から、そんな優しさを知らない学校にきて
息子も娘もひどく傷ついたのだという。

しかも、それはその親がそうだからなのだ。

「なんで、お母さんは離婚したの?」
と平気で聴いてくる人たちだった。
娘は父親と暮らしたい訳じゃない。あの町に暮らしたいのだ。
それは息子も同じだったが、息子はここで、同じような転校生と交流を深め親友を作った。

それ以外の子供とは一線を置いて付き合った。
あの頃、一番息子を痛めつけていたのはクラブ活動で入っていた部の指導者だった。
私も何度も辞めてもいいよ、と言ったのに息子は意地になって辞めなかった。
親友も入っていたからかもしれない。

「人間として失格」
そんな言葉を連絡帳に毎日書かれていた。
そのノートを見つけたとき、息子が周りの大人全てを憎んだのが解った。
こんな町に連れて来た母親の私を憎んだのもそのことが原因だった。

このブログに書いたように、私もこの町が幼い頃から嫌いだったのだ。
そのことに気がつかせてくれたのは二人の子供たちだった。

娘は父親と暮らし。
息子はあと1年ここにいる。
大学に行ったら、里帰りしても二度とこの町に暮らすことはない。

まだ、時に暴れる寝たきりの父がホームで逝くのを見送っても、
障害者になってしまった私は、このまま、ここで、死んでいくのだろう。

まぁ、今の世の中だったら、どこに暮らしても同じかも?
住めば都なんて思わない。
どこに住んでも、恐怖も不信感も治まることはないと言うのが私の状態だ。

私はだからこそ、この町のこの両親を選んだのかもしれないと思う。

どんな所に暮らそうとも、どんな家族を持とうとも、

しあわせは自分の心がきめる

から。
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